【保存版】搬送コンベヤの種類と用途別の選び方をプロが解説
「結局、どのコンベヤが自分の用途に合うのだろう?」 いざ搬送ラインを検討し始めると、種類の多さに圧倒されてしまう方は少なくありません。
本記事では、主要な搬送方式の特徴から、ベルトコンベヤ・ローラコンベヤ(ローラーコンベヤ)を中心にそれぞれの具体的な使いどころまで解説します。搬送方式の違いや選定のポイントを整理することで、用途に適した方式の検討に役立ちます。
弊社では、ベルトコンベヤ・ローラコンベヤを中心に搬送システムを提供しています。詳細な情報を知りたい方は、こちらの関連資料も併せてご活用ください。
コンベヤの種類と得意分野
まずは、搬送システムの主役である「ベルト」と「ローラ」、そして特殊な要件をカバーするその他の方式について、それぞれの基本特性を整理しましょう。
ベルトコンベヤ|面で運ぶ安定搬送タイプ
ベルトコンベヤの特徴
1.面で支える安定搬送
ベルトコンベヤの最大の特徴は、搬送物を「面」で支える点にあります。 これにより、バラ物や不定形なワークであっても姿勢が崩れにくく、安定して運ぶことが可能です。
2.レイアウトの自由度が高い
直線だけはなく、傾斜やカーブコンベヤを組み合わせることで、省スペース化や障害物を避けた配置など、現場条件に応じた柔軟なライン構築が可能です。
3.ベルト仕様の選択による高い適応力
搬送物や使用環境に応じて、ベルトの材質や表面形状を選択できます。これにより、さまざまな環境にフィットさせることができます。
- 樹脂・ゴムなどの材質選定
- 滑りやすさ・滑りにくさを調整する表面形状(グリップパターン)
- 仕切り(フライト付き)などの特殊形状
4.作業環境への配慮
比較的静音性に優れ、停止位置精度も高いため、作業環境の改善や工程の安定化にも貢献します。
5.安定稼働のための管理が必要
一方で、ベルトの「蛇行調整」やベルトの伸びを考慮した「張力管理」など、安定稼働を維持するための日常メンテナンスが不可欠です。

ローラコンベヤ|組み合わせ次第で幅広い対応力
ローラコンベヤは、フレームに一定間隔で配置された回転体(ローラ)が回転することで、搬送物を移動させる方式です。主に段ボール箱や通い箱、パレットといった、底面が平らで一定の剛性を持つワークの搬送が得意です。
最大の特長は、ユニットの組み合わせによって分岐や合流、間欠運転(一時停止)と蓄積(バッファ)といった複雑なレイアウトを自在に構築できる柔軟性にあります。
また、搬送路を一定の「ゾーン」に区切り、各ゾーンに配置したセンサで搬送物の有無を検知して、必要なゾーンのモータだけを個別に起動・停止させる制御が容易です。全ラインを常時駆動させる必要がないため、大幅な省エネを実現できます。
設計において基準となるのが、ローラの間隔(ピッチ)の設定です。安定した搬送を維持するためには、搬送物の底面が常に3本以上のローラで支えられるように設計するのが基本原則となります。これによって搬送トラブルを防ぎ、スムーズな物流ラインを構築することができます。

その他の特殊な搬送システムについて
ベルトコンベヤの安定性やローラコンベヤの自由度をもってしても、搬送物の特性や設置環境によっては対応が困難なケースが存在します。こうした特殊な要件をカバーするための搬送システムについて代表例を紹介します。
チェーンコンベヤ
チェーンコンベヤは、金属やプラスチック製のリンクを連結したチェーンを、スプロケットと噛み合わせて駆動する方式です。スリップの懸念を排除できるため、重量物の搬送においても安定した駆動を維持できるほか、材質を選定することで高温環境や腐食性のある薬品、油分が付着する現場など、化学的・物理的な負荷が高い条件下でも長寿命を実現します。

スクリューコンベヤ
スクリューコンベヤは、管路の中でらせん状の羽根を回転させ、粉粒体を軸方向に押し進める搬送装置です。最大の利点はその密閉性にあり、粉塵の飛散や外部からの異物混入・汚染(コンタミネーション)を遮断しながら、水平・傾斜・垂直とさまざまな角度で搬送できる点が強みです。また、単なる運搬に留まらず、搬送中に「混合・冷却・乾燥」といった処理を同時に行える多機能性も備えています。
振動コンベヤ
振動コンベヤは、搬送面を微細に振動させることで搬送物を前方に跳ね飛ばすように移動させる方式です。ベルトの隙間やローラの回転部がないU字型やV字型の「とい(樋)」状のコンベヤの上を流れるため、粉体や粒体の搬送に比較的に適しています。
長所は、構造が比較的シンプルで清掃性に優れた方式とされています。衛生管理が求められる食品や医薬品分野において、異物混入のリスクを抑えつつ効率的な搬送を可能にします。さらに、搬送しながら「選別・冷却・乾燥」を同時にこなせる点も魅力といえるでしょう。
流体コンベヤ
流体コンベヤは、エアーや水流の力を利用して、管路の中でワークを移動させる方式です。配管さえあれば高低差や複雑なレイアウトができるため、工場内の離れた建物間やクリーンルームへの長距離搬送において優位性を示すことが多いようです。
搬送物が外部に露出しないため、比較的クリーンな状態を維持できるのが大きなメリットです。一方で、安定した稼働を実現するためには、高度な配管設計と圧力損失の計算が欠かせません。
ベルトコンベヤの種類と使いどころ
ベルトコンベヤの選定においては、空間の制約に応える「レイアウト構成」と、搬送物(ワーク)や環境に適合する「ベルトの材質・種類」という2つの視点で検討することが重要です。
レイアウト構成
レイアウト構成は、設置スペースの有効活用と搬送経路の最適化のために最も大切な要因です。最もシンプルで導入コストを抑えられる直線構成は、長距離搬送や加工工程間の最短接続に最適です。
高低差のあるラインを繋ぐ傾斜構成では、ベルトとワークの摩擦条件に加え、フライトの有無や寸法、ピッチなどの仕様が、対応可能な傾斜角度に影響します。傾斜が大きく、搬送物の滑りや落下が懸念される場合には、搬送物が金属であればマグネットベルトを用いたり、搬送物を上下から保持する挟み込み搬送を採用したりすることで、より急な角度でも安定した搬送が可能です。
また、S字やコの字ラインを省スペースで実現するカーブ構成は、最小Rや速度の制約に加え、搬送物の大きさや質量の影響を受けやすいため、安定した旋回には緻密な設計が求められます。
ベルトの材質・種類
搬送物の特性や設置環境に合わせて、ベルトの機能を選定します。機能は多岐にわたりますが今回は弊社のラインナップの中から特徴的なものをいくつか紹介します。
主流となる樹脂ベルトでは、表面の特性を活かした多様な機能を付与しています。
- 抗菌・防カビ: ベルト素材に抗菌・防カビ剤を混入しており、大腸菌や黄色ブドウ球菌などの繁殖を抑制します 。食品の安全な搬送に欠かせない機能です 。
- 滞貨性ベルト: 表面を滑りやすく加工したベルトです 。コンベヤ上でガイドによる幅寄せを行ったり、直角方向から荷物を滑り込ませてスムーズに乗換させたりする際に使用します 。
- 傾斜ベルト :表面に保持力の強い材料を用いた、グリップ力の高いタイプです 。主に傾斜搬送時に使用しますが、水平搬送での飛び込み移載など、確実なキャッチが求められる場面でも重宝されます 。
- 導電性・耐油ベルト :静電気を嫌う基盤や薄いフィルムには、高帯電防止材料を用いた導電性ベルトが適しています 。また、機械油による膨潤や硬化を防ぎたい現場では、専用の耐油ベルトを選択します 。
また、プラスチックモジュールベルトは、プラスチック製のコマ(リンク)を連結した構造を持ち、用途に合わせて最適な材質を選択できるのが特徴です 。代表的な材質には、耐化学薬品性に優れるポリプロピレン、強度・耐熱性・滑り性のバランスが良いポリアセタール、耐衝撃性や柔軟性に富むポリエチレンなどがあり、現場の環境負荷に応じた使い分けが可能です 。形状のバリエーションも多彩で、幅広い要求に対応可能です。
<詳細は「コンベヤ総合カタログ」をご参照ください。>
さらに、製品の傷つきを防ぐクッション性のある特殊ベルトなど、特定の課題に応えるための高度なオプションも存在します。現場の環境と搬送物の特性を見極め、最適な材質や種類を適用することが、装置の長寿命化と安定稼働を実現する鍵となります。
応用編|特殊構成
標準的なコンベヤでは難しい搬送も、特殊なコンベヤを用いることで実現できるケースがあります。下記にいくつか紹介しますので参考にしてみてください。
横サン(フライト)付きベルト
ベルト表面に仕切り板(フライト/横サン)を取り付けた構造です。急傾斜搬送時にワークの転がりや滑りを物理的に防ぎ、安定した搬送を実現します。

マグネットベルト
ベルトの裏側に磁石を配置し、ボルトやプレス部品などの金属小物を吸着させ、垂直に近い角度でも確実に持ち上げることができます。

挟み込み搬送
2本のベルトで上下からワークを挟んで運びます。パウチなど薄くて軽いものや、柔らかく姿勢が崩れやすいワークを保持したまま、垂直搬送や反転搬送を行うのに有効です。

スパイラルコンベヤ
螺旋状にベルトを配置し、省スペースで上下階をつなぎます。

ローラコンベヤの種類と使いどころ
ローラコンベヤは、自走させるか重力を利用するかという駆動方式の基本に加え、カーブや分岐といった多彩なユニットを自在に組み合わせることで、極めて自由度の高い搬送ラインを構築できるのが最大の利点です。

動力源を持たない「フリーローラ」と動力源を持つ「駆動ローラ」
搬送の目的に応じて、動力の有無を選択できます。
動力を持たないフリーローラは、設置に勾配を設けて重力で搬送物を滑らせるため、電源不要かつ低コストで導入でき、トラックへの積み込み口や一時的なバッファエリアに適しています。
対して駆動ローラは、モータによってローラを強制的に回転させる方式です。「駆動方式」は複数存在し、それぞれ機能的な得意分野が異なります 。搬送物の重さに合わせて「重量物向けのチェーン駆動」を選んだり、設置スペースに限りがある場合は駆動部がフレーム内に収まる「省スペースタイプ(隣接ローラ駆動やモータローラ駆動)」を選択したりと、要求に合わせて最適な伝達方式を使い分けます 。
豊富なバリエーション
さらに、システム構成を支えるのが豊富なバリエーションユニットの存在です。
カーブ搬送においては、内外輪の速度差を解消する「テーパローラ」を用いることで搬送物の姿勢を安定させますが、高速運転時には遠心力による外側への寄りが強まるため、ガイドとの接触や騒音への配慮が欠かせません。
また、分岐・合流や蓄積(バッファ)工程では「ゾーン制御」を活用することで、搬送物同士の接触ダメージや箱の角潰れを抑えた物流ラインの構築が可能となります。
最後に|搬送コンベヤを使いこなすために
搬送装置選びに「正解」は一つではありません。ワークの形状、重量、そして設置環境をトータルで考える必要があります。
弊社ではベルトコンベヤとローラコンベヤをはじめとする、搬送設備の設計・施工を行っております。搬送システム全体の構築をご依頼いただければ、弊社で取り扱いのない特殊なコンベヤや他社製品であっても、ラインの一部として組み込み、最適なトータルソリューションとしてご提案することが可能です。
「この工程を自動化したいが、どの方式がベストかわからない」といったお悩みがあれば、ぜひプロの視点をご活用ください。貴社の現場に最適な「流れ」をご提案いたします。



