技術力

フードベヤシリーズ

フードベヤシリーズ

食品の搬送に特化した「フードベヤ」シリーズ。食品の安全性確保が最優先のフードベヤには、製品を運ぶこと以外にも多くの工夫が求められます。現場の衛生的な環境を保つために、部品の配置や形状などコンベヤのすべての要素を最適化することが、設計スタッフに課せられたテーマでした。

「お客様とともに『安全性』にこだわり続けます」 製造部開発課係長 中野智速

求められるのは「安全性」

食品を運ぶコンベヤに何より求められるのは「安全性」です。お客様の現場の衛生的な環境を保つために、コンベヤは材質や清掃性などにこだわる必要があります。材質ではさびないステンレスや抗菌防かび素材のベルトを使うこと、清掃性では洗いやすさやゴミのたまりにくい構造などが重要になってきます。

しかしそれらの点は理解していても、実際に食品用のコンベヤを開発しようとすると、その複雑さに気が遠くなりそうなときもあります。コンベヤで運ぶ食品には固いものや柔らかいもの、表面が乾燥しているものや粘着性のあるもの、小麦粉のような粉体など、形態がそれぞれ異なります。運ぶ際の温度も常温か冷凍か、または揚げ物のように高温かによって、その温度に影響を与えないようなコンベヤを設計しなくてはなりません。それらがすべて同じような食品でも、製造するお客様によって微妙に特性が違ったり、適切な置き方を要求されたりもします。無限の組み合わせに対応しなくてはならないのが、フードベヤ開発の難しさなのです。

もともと電子部品用のコンベヤを手がけていた弊社は、食品用のコンベヤを品揃えするにあたって、当初は電子部品用の派生品で対応しようとしていました。しかしこうした食品特有の事情を知るにつれて、一から開発する必要があると考えるようになったのです。

食品だけに見られる「ベルトが縮む現象」と苦闘

特に清掃性については、こだわりを持つお客様は少なくありません。中には2時間ごとに機器に水をかけて洗ったり、毎日機器をすべて分解して洗うことをルール化しているお客様もいらっしゃいます。傍目から見れば、そこまでしなくてもと思うときもあります。しかしお客様が衛生面に徹底的にこだわろうとするならば、弊社もその思いに全力で応えなくてはなりません。

洗いやすさを追求するうえで考慮したものの一つが、分解のしやすさです。ベルトを工具なしで外せたりなど、簡単に分解し洗浄後すぐに組み立てられるコンベヤを開発しました。洗浄作業にかかる負荷をできる限り少なくするためです。分解時に外したネジが転がって誤って食品に混入したりしないように、緩めるだけのネジにしたり、搬送面より上にはネジを使わないなどの工夫も施しています。コンベヤの足場に横に渡すパイプを、丸状のものにして水が自然と下に流れるようにしたり、モップが入りやすいように少し高い位置に置いたのも、洗いやすさを追求したものです。

食品搬送における厳しい条件に対応するため、製造加工の技術向上も絶えず取り組んできました。衛生的な環境を維持するには、加工の難しいステンレス素材を多く使う必要があるためです。特に部品のすき間からごみが入らないようにするための溶接や、衣服からの毛ぼこりを出さないためのバリ取りは、ステンレスを適切に加工できる技術がなければ実現できません。

時には食品特有の現象に悩まされることもありました。例えば果物の缶詰を作る工場では、シロップ液でベルトがフレームに張り付いてしまい、コンベヤが動かない問題が明らかになりました。考えた末採用したのが、ベルト表面のエンボス加工です。ベルトとフレームの接する面積を小さくすることで、張り付くトラブルは少なくなっています。

技術者を最も困らせたのは、ベルトが縮んでローラに過剰な力がかかって壊れる現象でしたね。通常ベルトは張った状態を維持するため、問題が起きるとすれば伸びることの方です。しかしなぜか食品では縮む現象が多く起きるのです。原因が分からない中、検証を続けた結果、ベルトの繊維間に搬送物の微粉末などが侵入し、厚みを増す事ことでベルトを縮ませる事が分かりました。そこでベルトに新たな素材を採用したほか、ベルトの張り具合に合わせてローラの位置をバネで自動的に微調整する機構を開発しました。現在「オートテンション」と呼ばれている機能です。

コンベヤ+ノウハウ=フードベヤ

食品業界には、「HACCP」(Hazard Analysis and Critical Control Point)という衛生管理手法があります。食品の安全性確保のために必要な手順などをまとめたものです。

しかし大手メーカーならともかく、特に小規模企業のお客様の場合、HACCPを詳細に把握し、その最新動向に追随し続けるのは難しいことでしょう。

搬送に限らない幅広い知識が要求されるフードベヤは、まさにノウハウのかたまりです。単にコンベヤだけを販売するのではなく、HACCPのような食品製造に関連したノウハウまで含めてトータルで提供している点が、弊社が食品メーカー様からご支持をいただいている理由と自負しております。