技術力

レスベヤシリーズ

レスベヤシリーズ

世界初、磁力の吸引と反発原理を用いて搬送ローラを回転させる、「レスベヤ」シリーズ。摩耗という搬送機器につきもののトラブル要因を、非接触駆動方式で解消させたこの技術が開発された背景には、ごく身近なモノから新しい仕組みを編み出す構想力と、課題を一つずつ解決してゆく地道な努力がありました。

「自転車のダイナモを見てひらめきました」 取締役営業部西部ブロック長 宮坂哲男

ひらめき、そして試行錯誤

「これ、使えるんじゃないか?」。そうひらめいたのは、自転車販売店で床に転がっていたヘッドライト用のダイナモを手にしたときでした。ダイナモの磁石を2個並べて片方の磁石を回転させると、もう一つの磁石にも回転する力が生まれます。それがコンベヤに応用できるのではないかと考えたのです。

その頃弊社は、ローラコンベヤのベルト切れ対策に頭を悩ませていました。ドライブシャフトの回転をローラに伝えるベルトが長年の使用で劣化して切れてしまい、コンベヤの搬送能力が低下してしまうという問題です。駆動力を伝える機構には物理的な接触がある以上、劣化とメンテナンスの問題はある意味避けられません。しかしダイナモの磁石を見た時に、非接触でも駆動力を伝える仕組みは可能で、それによりメンテナンスフリーを実現できると確信したのです。

そうは思ったものの、開発は初めから苦労の連続でした。第一、当時の弊社には磁石に対するノウハウがありません。顧客の課題解決に力を貸してくれる磁石メーカー探しから始める必要がありました。

しかもベルトの動きを目で追えるそれまでのコンベヤと違って、磁力は目に見えません。見えない力と戦うために、初期の頃は紙の上に砂鉄をまいて磁力線を確認するような、小学校の実験みたいなことまでやっていましたよ(苦笑)。結局試作だけで1年近くかかりました。

必要な力が出ない

試作してみて最初に直面したのがトルク不足の問題です。磁石の形状などを工夫してみたものの、思うようなトルクが出ません。いきなり困っていたところに、磁力の強いネオジム磁石の存在を知りました。文具などに使われる一般的なフェライト磁石よりも磁力が強く、今ではハイブリッド自動車のモーターなどにも使われるネオジムですが、当時はまだ珍しい存在でした。

試作機の磁石をフェライトからネオジムに置き換えることで、必要なトルクは出るようになりました。しかし今度は別の問題に突き当たります。フェライトと違ってネオジムはさびるため、防錆対策を考えなくてはならなくなったのです。

マニュアルで水がかかる現場での使用を禁じれば、防錆対策は必要ないでしょう。しかしそれではお客様に余計な配慮を強いることになりますし、食品工場の搬送現場のように水を使う現場のお客様にとっては解決策とは言えません。多少水がかかっても大丈夫なように、磁石表面を特殊コーティングすることにしました。

低速動作時に速度が乱れるコギング対策も課題でした。コギングが際立つと、例えば基板の上に素材を塗布するような工程では、塗布量にばらつきが生じてしまいます。そこで一つの磁石につけるN極とS極の極数を増やして、よりきめ細かく磁力が伝わるように工夫を施しました。ただし極を増やすと今度はトルクが低下してしまうので、そのバランスの見極めには今も苦心しています。

お客様の声が開発意欲の源泉

レスベヤはこうした地道な研究を続けたからこそ、実現したものと思っています。レスベヤにより当初の開発動機であった摩耗の問題は解消されたのはもちろん、機構が非接触で単純なため小型化などの効果ももたらしたほか、従来の動力伝達機能よりも少ないエネルギーで動力伝達が可能で、消費電力も少なく低炭素社会へも貢献しています。ローラを非接触で動かすという画期的な仕組みは、特許としても認められました。

レスベヤに限った話ではありませんが、お客様の声があるからこそ、私たちは新しい知恵を出そうという意欲が高まります。今では液晶テレビ用の大判ガラスのような、大きく重いものの搬送にも使われるようになったレスベヤですが、お客様の声がなければ決して生まれなかったでしょう。今後もお客様の声を大事にしていきたいと考えています。